Bag end diary

J.R.R.Tolkienとその作品を中心に、日々の出来事を一人のホビットが気まぐれに綴ります。

教授の地を巡って

Elen sila lumenn omentielvo.

オックスフォードに滞在して10日目になりました。

もうどれだけ充実した日があったか思い出せない程楽しんでいますが、絶対に忘れないと誓った日のことを書かせていただきます。

 

普段日常で使う小鳥さんの方でも報告した通り、18日はSignum Universityで教えていらっしゃるというGabriel Schenkさんと一緒に、トールキンゆかりの地を回って参りました。

会えるかも!という話は、連絡を頂いた日から友人に話していたのですが、まさか本当に会えるとは思わなかったので驚きでした。

何せ初めて行った地で初めて連絡を取り合った方と初めて二人切りで会うということで、少しだけ緊張していたんですが、全くその必要は無かったみたいです。顔を合わせてお互いの確認をして、握手でお出迎え。一言二言かわし、そして私が何をしているのか、日本のどこから来たのか。そして私が知らない教授についてのこと、お互いのトールキン研究に踏み出したきっかけなど、色々とお話を聞かせていただきました。

 

まずはRadcliffe Camera から歩いてすぐのExeter College へ。大きな木の扉を開ける際、先生が「唱えよ、友」と言ってくださり、2人揃って”Mellon”と。少し和みました。

門をくぐると、そこには少し小柄な建物が。目で見るのに夢中で写真に収め忘れた部分が多いのですが(爆)、本当に綺麗でした。「友人に送ろう、きっと羨ましがるよ」と写真も撮っていただきました。

奥へ進むと、Exeter College ならではの広い芝生、フェローズガーデンが。映画のロケ地です。というか全部ロケ地ですが。

こんなところに来ちゃっていいのね!?なんて思っていましたが、今こそ誇るべきだと思いその景色をしかと目に焼き付けておきました。さらに行った先に素敵な穴場スポットがあったんですが、行き方と景色は胸の内に秘めておきます。気になった方は、実際に訪れてその目で確かめてみてくださいね。あ、チャペル近くの教授の像もお忘れなく。

ちなみにエクセターカレッジですが、日曜日しか拝観できないようなのでご注意を。

 

お次はMerton College、教授が教鞭を取っていた地です。BBCドキュメンタリーがインタビューをした50年前の映像が残っているので、気になる方はこちらへ。https://youtu.be/ON_dD-LKlCA

映像と風景を重ねると、教授が窓から顔を覗かせていた部屋が分かります。

他にも教え子さんたちのコメントがあるので、日本語字幕はおろか英語字幕すらありませんが、是非ご覧くださいね。

そしてここのチャペル、すごーく古いんです。天井にある絵画がまさに数世紀前のものって感じで、ジーザス像もかなり独特。通常ステンドグラスに描かれているものですが、Mertonは像がいくつも連なる形式。不思議な空間でした。

ここも芝生が綺麗で、何と言っても超広大な敷地。写真が無いので残念ですが、芝生をぐるっと一周できるようになっているらしく、絶好のウォーキングスポットです。近くにはカヌーの乗り場があって、暑い日に涼むにはうってつけ。

 

そしてラスト、Magdalen College.

インクリングスの集まりがあった場所です。こちらも写真を載せますが、肝心のお部屋は真ん中に並ぶ5つ、その一番右からさらに2つ右の窓です。

歴史を感じさせる、大きな建物ですね。

こちら、読み方は「マグダレン」ではなく「モードリン」です。ケンブリッジの方に同じ名前のカレッジがあるのですが、そちらの発音は「マグダレン」。オックスフォードの方は「モードリン」と言います。

夏だったので青い晴空に緑の芝生が非常に映えていたんですが、映画と同じ秋に来たら、きっと綺麗な紅葉と一緒に見られることでしょう。そしてサントラを聴きながら、近くのベンチに腰掛けて指輪物語を読む。素敵すぎます。

 

と、学び舎巡りはこんな所でしょうか。戻る途中、ため息の橋の近くで"Inspector Morse"のスピンオフの撮影が行われていたようで、レアな車の写真を収めてしまいました。公開されたら、こんな所だったのね、と思っていただければ幸いです。

 

学び舎巡りの後、光栄にも先生が「教授のお墓を見に行く?」と言ってくださりまして。滞在最終日は完全に自由だからその時に行こうと思っていたんですが、この日に行けるなら是非と思い、お言葉に甘えて、近くのバス停からWolvercote Cemeteryまで行って参りました。実は私、これがイギリスのバス初乗車、しかも2階の席だったんです。初めてにしては光栄過ぎました。

バスを降りて墓地に入るなり、何故か緊張感が。本人に会いに行くわけじゃ無いのに、と言われましたが、いざ教授のお墓に辿り着くと、それまで考えていたことは一瞬で吹き飛びました。

写真で何度か見ていましたが、Luthien , Berenの名前を見るなり、読んで字のごとく震えました。口にこそしなかったものの、「マジかよ」と。

これまで映画を何度も見て、本もたくさん読んで、教授の作品やその人生について考えて。気付けば金も時間も厭わないほど好きになっていましたが、本当にとんでもない物に手を出してしまったなと。そんな想いを馳せる内に、先生が何か詩を、と言うのでお願いした所、Lady Galadrielの一節を暗唱して下さいました。これが涙腺にひどく効きまして。

隠れてそっと泣いていましたが、私ファンの中でもあまり知識が深い方ではなくこれが初海外、初英国だったわけですが、なぜか教授が「よく来たね」と言ってくれたような気がしまして。近くの樹の根元で、教授がエディスさんと一緒に本を読んでいる姿が目に浮かぶようで、涙が止まりませんでした。

ここに来てようやく本気で、教授のファンでいて良かったと、誇らしく思うと同時に、どれだけ自分が大切にしてきたのか改めて気づかされました。

この場を訪れたファンの方なら、きっと一度は私と同じことを思ったのではないでしょうか。

 

別れる際、先生に激励の言葉をいただきまして、そしてこの先もずっと教授の作品を追い続けようと心に決めた日となりました。

滞在最終日はもう一度、今度は自分の足だけでお墓に行く予定です。その時はThe Letters of Tolkienと、お花を一緒に。

長くなりましたが、ありがとうございました。

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