オックスフォード滞在記 〜第2週〜
Mae govannen!
さてさて、第2週のスケジュールでございます。
映画『トールキン』の細かな感想についてはもうしばらくかかりそうなので、急遽順番を変更してこちらから書かせていただきます。
実は1週目が濃すぎて、2週目に何をしたかあまり思い出せていません。特に授業。
それでは見返してまいりましょう。
-8日目 -
ツイッターの方でもこちらでも散々お知らせした通りです。
まだ見ていないという方は、こちらの記事をサーっと流し読みした後第2週をご一読くださると嬉しいです。
hobibin-aryaren.hatenablog.com
13日にある方にお会いできるかも、という連絡をいただき、いざ当日。
8月18日です。
朝食後は猫と戯れ、昼は友人と一緒に近くの「えだまめ」という和食レストランに足を運びました。これが3週間で唯一の和食でした。とっても美味しいので、オックスフォードに訪れた際は是非足を運んでみてくださいね。
そして待ち合わせの時間が近づくにつれて緊張も高まり、あれがそうかな?と思い声をかけてみると、握手でお出迎え。さらに日本から来ました、と言うと「コンニチハ!」と返してくれました。もう既にこの時点で感激です。
色々な場所を巡りながら、あの伝記映画は見た?今日は何をしていたの?トールキンを好きになったきっかけは?など、ちゃんと英語で意思疎通できるかなと思いつつお話ししていましたが、何の問題もなかったようで自分でもびっくりでした。
お別れの際に激励の言葉をいただき、一新された心と体で寮に戻り、友人と話したりアルバムを作ったり。その日はしばらく興奮していたのを覚えています。
大好きに思っているもの、そして自分がそれを「大好き」だと言えて、そこに自信と誇りを持つこと。それが何であれ、大事にしていきたいものですね。
- 9日目 -
英語の歴史の授業です。ケルト、ローマ、ゲルマン、ヴァイキング、ノルマン、古英語、中英語、ざっと網羅するだけでも楽しい。トールキンにハマり始めた頃から古英語や古いヨーロッパ諸言語には手を出したいと思っていたので、その種類を知ったり軽く歴史の流れを知っておくだけでも良い知識の糧となりました。
その日の午後でしょうか。着いて4日目に原語版ロードオブザリングを買い揃えてしまった Blackwell's という有名な書店に再び行き、今度は原語版のベオウルフ(勿論トールキンです)と「2つ選べば1つ無料」のラベルがついたカンタベリー物語を手に2階のレジへ。
店員さんに質問をする方が多く、人が途絶えた辺りで「こっちで精算できます?」と聞いてみると、「あぁ勿論だよ、ここは質問をよく受ける場所でね」と軽快なジョークで返してくれました。しかし同じラベルのものを選べば1つは無料になる物に気付かず、ラベルのないものを追加で選んでしまい「ラベルがないと安くならないよ」と言われたのですが、選んだものも捨てられない。時すでに遅し。
「その2つ下さいな。あ、もう一つもそのまま追加でいい?」「勿論だ!」
計3冊。前述2つと Leaf by Niggle を購入しました。
そして夜のアクティビティはパブ!
学生さんに連れられて、Turf Tavern という少しオシャレなパブにやってきました。常連というほどではなくても、トールキンやC.S.Lewisも足を運んだ場所だとか。行きたいと思っていたので、場所を聞いた時は非常に嬉しかったです。
カウンターでサイダーを頼んだはずなのに、一口飲んでみると
「あれ?これビールじゃん」
ってなりました。まぁいいや、なんて飲んでいるうちに友達と話が盛り上がってきて、帰る人もちらほら。とりあえず水を飲まなきゃなと思い、戻って友人の冷蔵庫をお借りしようとしたところ、
「顔赤いよッッ(笑)」
と言われました。
ほろ酔いで少しハイになってるかなと自覚はしていましたが、まさかコップ半分以下の度数低めのビールで!?と愕然。
お酒はほどほどに、徐々に慣らしていくべきですね。
- 10日目 -
シェイクスピアです。
残念ながら私は苦手で、唯一好きなのをあげるとすればヘンリー5世なのですが、
割とクラスメイトは楽しんでいたようです。
心の中で "Once more unto the breach, dear friends, once more!"
と何度も唱えておりました。
午前中だったでしょうか、ふとトールキン自筆のエアレンデルの詩をネット上で発見し、「お、これは!」と思いましたが、どうにも後半がわからない。先生か学生さんならわかったりするかな?と意気込んでみたものの、
「あれ、これはエルフ語じゃないの?じゃあ多分ネットにあるんじゃないかな」
「プレゼンでやっていいよ、でもやるなら正しく発音しないとね」
となったので、スマホで何とかやるか!とさらに意欲が増しました。
今の時代、やっぱり何でもネットで見つかっちゃうんですね。
そして昼食後、階段を降りるなり地面に寝そべる猫を発見!
その日は確か珍しく暑い日だったのを覚えています。きっと猫も暑かったんでしょう。
それから午後はボドリアン図書館のショップに足を運び、栞とトールキンのキーホルダーを購入。その後はアクティビティもあったのですが、詩の後半を調べたい!と思い寮のパソコン室に直行してようやく発見!
後半部分の読み方、現代英語訳を参考に解読。しかし原文の古英語を調べているうちに、これ何だろう?と疑問に思う点を列挙。
わかったことと同時に、わからないことが増えました。
そこに約2時間強こもっていたことに気付いたのはその後です。
詩はこちらを参考にさせていただきました。
Glǽmscrafu - Crist of Cynewulf (Lines 104 to 108)
- 11日目 -
かの有名な『不思議の国のアリス』についての授業です。
内容がまずヘンテコだし、本文を読んでても「ほぉ?」となる部分があるんだから、そりゃ上手く日本語に訳せないのもわかるわ、となりました。
この日の休憩後の授業でしょうか。プレゼンのトピックについて、少し難しいから変えるかもしれない、この古英詩も候補に入れている旨を先生に話すと、「アリだね、とにかく任せるよ」と一応OKを貰えたのですが、「正しい発音で」というのはやはり無理がある上に友人と「多分みんなポカーンってする(笑)」と意見が一致してしまいましたので、やはりやめようということになりました。
午後は教室を大きく変えて演劇の授業です。
どうにも培ってきた経験から体が疼いてしまい、
「これは久々に気合い入れていくか!ヘルハイマ!」
まずは自己紹介です。名前の後に好きなことを全身で表現してね、と言うので、普段見せない姿を見せてやる!と、ここぞとばかりにトリッキーな動きで自己紹介。案の定「えぇ!?」となりましたが、その後も色々とはっちゃけて、久しぶりにいい汗をかきました。
やっぱり芝居を好きでいてよかったな、と改めて感じた一日でした。
- 12日目 -
イギリス社会と家族についてです。
免許や結婚年齢、義務教育期間など、へぇそうだったのねとなる内容でした。普段は社会的な事柄に関してはあまり調べないので、確かにこうして他の国と比べてみると日本の「ん?」となるところがハッキリと見えてきますね。
そしてシェイクスピアに関するクイズ大会。
このイディオムは日常どんなところで使えるか、ハムレットを演じていない俳優は、作品数は、などなど。
3人1組になり正解数を競ったのですが、見事にタイで優勝!
商品はチョコでした。
丁度この日はトーリン役のリチャード・アーミティッジが誕生日だったので、普段は密かにスイーツを買ってくるのですが、それもないので「ハッピーバースデー!」と心の中で唱えながらチョコをつまんでいました。
そして夜、ふと部屋を出ると友人がノック寸前で立っていました。何かと思うと
「今から同期の子達とお菓子パーティするんだけどどうよ」
「いいね、wktk」
と言うわけで、イギリスに滞在する同期の友人達とお菓子パーティです。
ですがこの日ですね、私ランドリーを使うべく10ポンドで回数券を購入しようとしたのですが、機械の不具合により回数券が購入できず、そして10ポンドをそのポンコツに奪われてしまいまして。夜のアクティビティに「タピオカドリンク」とあったのですが、財布の中身がアカンということでパス。一応水はあったのですが、友人が「これ飲んでみる?美味しいよ〜」と言ってくれたので、お言葉に甘えて味見させていただきました。
率直な感想として、イギリスでのタピオカドリンクも思ったより美味でした。
友人達よ、ありがとう。
- 13日目 -
この日は割と晴れていました。
一言で言うならばシェイクスピアの過ごした場所です。
早速目に入ったのは不思議な雰囲気のショップ。中に入ると、そこはホグワーツのグッズがずらり。あれ、ここストラトフォードですよね?
あれ、後ろで流れてるのこれホビットのサントラじゃないですかやだー!
なーんて一人で心の中でツッコミながら、ハリーポッターシリーズが好きだと言う友人の後ろで唯一見つけた金色の指輪を眺めておりました。そうなんです。そこだけ世界が違っていて、金色の指輪がショーケースに飾られていました。
その後はぐれ、一人居合わせた友人と「せっかくだからシェイクスピアの眠ってる教会行こうか」となり、行ってみたはいいものの、いや拝観料取るんかい!
お墓見るためだけに払うのもなんだかねーと言って、帰り際にそれより安くて美味しいアイスを食べました。歩いて疲れていたので凄く美味しかったのですが、食べながらトールキンのお墓を思い出していました。
交通費こそかかれど、彼のお墓はあまりに普通にありすぎて無料ということすら忘れてしまう。トールキンらしいな、と思ったものです。
この日は寮に戻った後、Leaf by Niggle を読み終えました。
薄いのですぐ読めてしまいますから、ファンの方は是非お見逃しなく。
- 14日目 -
さぁ2度目のロンドンじゃあ!!
読んで字のごとく、2度目のロンドン観光です。
私は前回行けなかっところを回り、友人達は Her Majesty's Theatre という劇場でオペラ座の怪人を観る、というわけで開始まで少しばかり別行動です。
大英博物館までそう遠くないね、ということで史学好きの友人と徒歩で向かったのですが、途中でトラファルガー広場(Trafalgar Square)からナショナルギャラリーを一望したり、可愛らしい街並みに目を奪われたりと、やっぱり初めての場所はどこでも美しく見えてしまうもので、歩いているだけで楽しかったです。
そしてついに到着。古代ギリシャを彷彿とさせる大きな建造物を見て、地図を確認、そして場所をもう一度確認。
「これが大英博物館か・・・!!」
何度もそう言い、手荷物検査を終えて、入館料を払うことなくいよいよ中へ。
目に飛び込んできたのは白く大きな楕円形の建物。
これがあのナイトミュージアムの・・・!(大ファンなんです)
「とうとう来てしまったか。
見よ、これが天下の大英博物館だ!!!」
と吠えたい気持ちを抑えるのに一杯で、ベストショットを収めるべく何回かパシャリ。
丁度マンガ展の開催中でしたが、友人も私も色々見て回りたいということで、特別展そっちのけでまずは順路に沿って最初の部屋へ。
広い。広すぎる。規模が違う。流石です。
こんなところで泥棒博物館なんて言いたくはありませんが、これは泥棒ですね。
何せこの博物館は大事なものを奪っていきましたから
あらゆる史学的に価値のあるものですって?
・・・私の心です。
なんてヒドすぎる茶番は置いといてですね、いや本当に。凄いんです。
お昼はイチゴとクリームにブルーベリーソースのかかったワッフルを食べ、甘さと冷たさで体力を回復してからエジプトエリアを見に行き、そして友人と別れた後は1時間半ほど博物館の中をぐるぐると。
私が気になっていたのは主にヨーロッパからイギリス、特にヴァイキングやケルトの時代なんですが、これは本当に回りきれない。見終わっても、あれもこれもなんて言っていると時間が経つのはあっという間。
展示を考える方、手入れをする方、その他大掛かりな作業をする方の苦労を考えると、本当に力を入れていて尊敬します。
・・・うーむ、なんだか喉が痛いな。ちょっと体力を奪われてきたか。
何だか喉に気を取られて気が散ってしまい、近くの本屋さんへ行き軽く休憩。
軽く回復した後は、これまたすぐ近くのチャールズ・ディケンズ博物館へ。パンフレットをいただき、ディケンズの家をぐるり。こじんまりとしてるけど、可愛らしくてフィクション作家らしいな、というのが第一印象でした。これを機にディケンズのあらゆる作品にも手を出してみようかなぁなんて。まず持ってるトールキンシリーズから読みましょうって感じですが。
その後街を軽く歩こうかと思ったのですがどうにも体力を奪われ、 Waterstones という書店を目指して歩き、何とその手前にMUJIRUSHIの文字を発見!
これは面白い、と思わず中へ入ってしまいましたが、服が割と日本よりお高めでした。無印のシンプルで飾らない感じがなかなか好きなのですが、書店の方が個人的には落ち着くかなということで Waterstones へ。何か面白いものあるかな〜・・・
と、読んだことのないトールキン本を発見!シルマリルもある!色々揃ってる!
流石海外大手の書店は違うぜ!
心の中では耳にタコができるほど言っていますが、やはり読んでいないものがあると手が伸びてしまうのが私の性なんでしょうか、とりあえず財布に余裕はあるな・・・と思い、友人から合流OKの連絡が来たところで、思い切って2冊購入。
Tales from the Perilous Realm と Silmarillion です。
無理よ、だって好きなんだもん。
そう無理やり言い聞かせて、反省も後悔もなく駅へ。
日本とは勝手が違い、一人で大丈夫かな?と心配だったのですが、難なく駅について友人と合流。
行き着いた先はハロッズです。英語にすると Harrods。
とんでもない種類のチョコレートに紅茶、ふと見かけたターキッシュデライトにあの4兄弟を思い浮かべたりと、ここを去るなんて考えたくもなくなるような場所でした。
そしてフロアを移り、店員さんや警備員さんの力を借りつつかの有名なおみやげ屋さんへ。
テディベアとクラシックカーの並ぶ入り口を抜けると、そこはこれぞイギリスと言わんばかりのお土産がずらり。ビスケット、紅茶、マグカップ、ジャム、それはもう目移りしてしまうほど。
何とか買い終えて、さぁバスに乗って帰るぞぉ。
何とここで友人が財布を落とすというアクシデント発生。
皆でバス停を降りて元の場所まで戻り、手分けして辺りを見渡していると、突然声が。
「そこのお嬢さん方、何か探してるの?」
「えぇ、実は友人が財布を落としてしまって・・・」
「この辺ね、探してみるわ」
「私も探しましょう」
・・・嘘でしょ!?と思いながら、ひたすらありがとうと頭を下げて財布探しを再開。
少しばかり警戒していましたが、その方が家族と思しき方々に声をかけて一緒に探してくださり、人の優しさがこれでもかというほど心に沁みました。
結局その後友人の財布は見つからず、今後何かあったら助けるよということで断念。
ロンドン、人は良くとも財布を落とせば帰っては来ない町です。むしろ日本で帰ってくるっていうことの方が珍しいのです。海外での過ごし方をしかと胸に刻みました。
帰ってきたのはてっぺんを超えた頃。
明日はオックスフォード周辺を見て回ろうかな、エクセターにもう一度行きたいな。
まぁ、寝れば喉も少しは良くなるだろう。
こういうのっていつも杞憂になることが多いし。
・・・
思った以上に長くなりましたが、第3週に続きます。
読んでいただいてありがとうございます。
Hannon le!