Bag end diary

J.R.R.Tolkienとその作品を中心に、日々の出来事を一人のホビットが気まぐれに綴ります。

オックスフォード滞在紀 〜第3週〜

Mae govannen!

少々遅くなってしまいましたが、滞在記のラスト1週間についてを載せようと思います。

これまでの思い出を振り返りながら書いていると、「あぁそんなことあったっけなぁ」なんて思い出し笑いしてしまうこともあり、良い気分に浸れていたのですが、それもこの記事で最後。

死ぬほど長い上、ラスト2日は赤裸々に綴っておりますので、ご注意を。

それでは最初からクライマックスな第3週をご覧ください。

 

-15日目-

平日と同じくらいにアラームをセットして寝た土曜日。そしてアラームが鳴るなり飛び起き、咳き込みながらもスマホに突撃。

電気をつけて、カーテンを開けて・・・

 

喉が痛い。鼻がおかしい。だるい。体がこわい。

 

「これはあかんやつ」

と一瞬で悟り、とりあえず着替えて朝食へ。

その後友人の部屋で水を飲ませてもらい、運良く別の友人が体温計を持っていたためありがたく貸してもらうと、微熱。37.1度でした。

普段の体温が通常より低い自分にとっては辛い。

一度自分の部屋に戻ったものの、周りはハエでうるさいわ皆は好きなところへ行っているわ、何だか落ち着きませんでした。

この日の記憶が薄いのは恐らく風邪と熱のせいでしょう。

その後友人の部屋にお邪魔すると、「こっちで寝ていいよ、何ならゆっくりしてって」なんて言われてしまったもので、確かにこのままじゃあかんなと思い15分ほど寝させてもらいました。

友人よ、本当にありがとう。感謝しても仕切れない。

その後も体温を測ってみたものの、やっぱり微熱。体力も気力も足りず、先週回ったところをもう一度(特にエクセター)見たいと思っていたのですが、おかげで予定が全て破綻。友人たちがお昼から街を回るのを見送り、ちょうどその時買ってきたケンタッキーをお裾分けしてもらい、しばらくのんびりとさせてもらいました。

夕食は友人が見つけたパブでフィッシュ&チップス。

量が多いから3人で2つにしようかと言っていたのですが、これが美味しい。それなりに味の悪さは覚悟していたんですが、これは普通に舌に合いました。

友人がもう一つ食べる中、そろそろ体調が危ないと思ってお先にお暇させてもらい、その途中で「風邪薬があったかも!」と思ったのですが、来る直前に「やっぱいいか!」と思って入れなかったのを思い出し、とうとう自虐に走る。

その日はいつもより早めに、友人からマスクをもらって眠りにつきました(それでも上手く寝付けなかった)。

旅行の際は風邪薬、必須ですね。

私がいい例です。

 

-16日目-

この日もいつも通り起きて、朝食をすませる。

友人から借りていた体温計で測ってみると、何と37.5度でした。

だが授業を休むわけにはいかないし、そもそも休みたくない!気合でやったれ!!

とにかく皆にはうつすまいと思い、新しいマスクを貰ったのですが、どうにも声が出しづらい上に鼻もムズムズして「こりゃ完全に風邪だわ」と。(自覚が遅い)

別の友人からは「目に覇気がない」と心配されていました。

授業中もマスクを取っていたかったのですが、していないとしていないで苦しい。その日も何度か当てられたのですが、いつもより回数が多い?と思い、「マスクしてるとやっぱり印象悪いかな?」と聞いてみたのですが、「いつもこれぐらい当てられてるよ」と。残念ながら当てられている実感はありませんでした。多分当たりやすい位置にいたんでしょう。

そしてお昼。

この日は午後1時からボドリアン図書館のツアーを予約していたため、友人と一緒に時間ギリギリにツアーの集合場所へ駆け込みました。日本語のパンフレットを貰い、他の観光客と一緒にいざ内部へ。

図書館のツアーですが、30分、1時間、1時間半と3つのプランがあります。私が行ったのは1時間ツアーですが、それでも物足りないほどでした。恐らく1時間半でも足りないでしょう。

写真NGの場所に案内され、その古さと歴史をこれでもかと言うほどスタッフさんが語ってくださり、「これがボドリアンか・・・!」と感動するばかりでした。

ずっと行きたいと思っていたので嬉しかったのですが、正直物足りなかった。

トールキンの像、見たかったな。

 

授業を全て終え、夕食を済ませたあとはピクニック!

学生さんに案内され、University Parkというところでお菓子を食べながら駄弁っていました。

その時 The Wanderer を紹介してくれた学生さんに「読んだよ!凄く響いた!」と報告をし、今勉強している内容がファンタジーに近いということなので、お互いにオススメの本を紹介しました。私が紹介したのはLeaf by Niggle、彼女が紹介してくれたのはBaba Yagaという本でした。

彼女も普段は大変だそうですが、興味がある類が似ていて少し親近感を覚えました。

 

ツアーの予約はこちらから↓

https://visit.bodleian.ox.ac.uk/tours

 

-17日目-

朝起きてアラームを止めると、何だか体が軽い。

よっしゃ、熱が引いた!長く寝たから回復したんだ!

この日は朝食から「顔色いいじゃろ?」なんてドヤ顔をしており、そして授業に。

 

「あれ?声が変だな、かすれてる」

 

授業は喋るのが中心です。声がまだ完全には回復していなかったため、少し抑えめに発言していました。

休憩時間もゆっくり本を読んでいましたが、友人たちと喋りたくてもこの声じゃな、と思いいつもの自分を封印。

 

それでも午後の授業は非常に楽しいものでした。

まずはお昼後だし目を覚まそう!ということで軽いアクティビティを。ジェスチャーゲームです。文字通り、何をしているのか当てるゲームですね。

ここでも私の芝居魂が目を覚ます。

前に出て行き、「何をしているでしょうか?」と言った後、電車に乗り、吊り革につかまりスマホを見るというまるでスキットのようなジェスチャー。振動でバランスを崩すふりをすると、「おぉー」と反応してくれました。

やっぱり芝居やってて良かった!

肝心の授業ですが、映画好きの私にとってはたまらない、イギリス映画についてです。

いろんな俳優が紹介されて、途中でC.S.Lewisの伝記映画 "Shadowlands" が出てきました。邦訳は「永遠の愛に生きて」となっていますが、こちらはロマンス中心となっているようですね。トールキンといいルイスといい、邦訳が難しいようです。

そして教室の中が暗かったからか、ウトウトする人がちらほら。どうにも目を輝かせて聞いているのは私だけ?と思い、隣で首をコクコクさせる友人の腕をつついて目を覚ましてあげました。どうにもクラスメイトはあまり興味がなかったみたいです。

この時先生が「ダウントンアビー面白いから見てね!」と言っていたので、それまでちらほら見たことはあったのですが、帰国後Amazonプライムにて最初から見てみたところ、これがめちゃくちゃ面白い。

20世紀初頭の英国貴族を描いているんですが、ソンムの戦いも出てきます。

映画『TOLKIEN』を見た方にとっても興味をそそる作品となっているはずですので、是非ご覧ください。

この日だったでしょうか、一人パソコン室でプレゼンの用意と帰国後のエッセイの準備をしていると、隣の先生方が喋っている。何だろうと思っていると、アメリカ英語とイギリス英語の違いを色々調べているようだ。

"answer" "car" など、「面白いね」と言っていましたが、

「あっこれ絶対次の授業のやつだ」

と思い、その場にいたのは私一人だけだったので何も聞いていないフリをしていました。

そして帰り際にここぞと思い、先生に「ホビットとか読んだことありますか?」と聞いてみた所、「ホビットは小さい頃読み聞かせされたね、あまり覚えていないけどガンダルフが好きだよ。今読み返したらきっと面白いよね」と。あまりそんなイメージが無いかなと思っていたので、正直びっくりでした。その後少しばかり先生方と喋って、「良い情報を貰った!」と内心ガッツをしてお別れしました。

やはり来てよかったと何度思ったことか。

 

-18日目-

授業もそろそろ終わり。と言うことで午前一発目からレビューです。

といっても筆記テストなどではなく、2グループに分かれてのクイズ対決。

 

「やばい。声が昨日より出ない。言いたいことの半分も言えない・・・!」

 

いよいよ声がおかしくなり始めました。息をしていても途中で引っ掛かって咳が出てしまい、薄い呼吸じゃないと持たない。先生方にも「水いる?」「のど飴いる?」と言われてしまい、これは本気で申し訳なかった。

どうか当てないで〜と祈りながら皆の回答を聞いていましたが、所々珍回答で笑わせてもらいました。

午後はアメリカ英語とイギリス英語の違いについて。

ご存知の方も多いと思いますが、米国と英国ではまずアクセントが違います。

辞書の発音記号なんかを見ればわかると思いますが、"a" "r" の違いはかなり顕著。先生がそれを大袈裟に発音してみせると、クラスメイトが爆笑。実はクラスメイトは私以外皆アメリカ英語でした。

アクセントの違いだけではなく、「ズボン」「下着」の言い方や「薬局」「医師」など、これは初耳!と思うものも多く勉強になりました。

授業後、こっそり友人に内容を聞いていたことを教えたのは秘密です。

その後はプレゼンの用意。

いよいよ本番は明日に迫っている。のんびりなんかしていられない。

ペアを組んだ友人にインタビューなどを任せ、私はパワーポイントとスクリプトの用意です。自己紹介とイントロ部分を何とか喋れるようにするよ、と言い寮のパソコン室に籠もって作業していました。

夕食は少なめに、早く済ませたものの、「あぁまだ聞いていない部分があった!」となったので友人が別のインタビューをしている間に私は聞き忘れた部分を担当。

何度呼び止めるんじゃいって感じですが、夕食後に先生方にさくっと質問をさせていただきました。何度もありがとうございますm(_ _)m

パソコン室に戻ると、既に別のグループが。早く終えて練習するグループもいれば、後から来て完成させるグループもあり。

私は友人と夜まで作業していましたが、もう少しだねと言うことで他のグループと談笑しながらスライドを作っていました。

高校時代の話、方言トーク、バイトの話など大いに盛り上がり、気づけば10時。

すっかり遅くなってしまいましたが、友人を私の部屋に招いて練習開始です。切り替えるタイミング、変な部分が無いか、スピードとテンポなど。

さぁ、本番は明日だ。

 

-19日目-

授業はこれがラストです。

先生方とまともに喋れる最後の日です。

見慣れた教室に行くのも最後の日です。

でもまだ完全に最後ではありません。

しっかり朝食をとって、準備して、スクリプトを読み返して。

さぁ行くぞ。

 

「え、ちょ、声出ない」

 

・・・はい、もう終わりましたね。

この時ばかりは自分を呪いました。

スクリプト全部任せていい?(泣)と友人に頼んだところ、

「スライドもスクリプトもやってもらったんだから任せて!こっちこそ本当にありがとう!」

いえこちらこそ、本当に、本当にありがとう。

さて、発表に行く前に皆から一言ずつ。何にしようか迷い、友人にこれ言ってくれる?と頼んだところ、会場が笑いに包まれました。主に現地の方々が。

そうです、Keep calm and carry on です。

言わずと知れた英国のフレーズですね。

そして私と友人のペアの順番がやってきて、友人が「彼女が喋れないため私が説明します!」と堂々と言ってくれました。申し訳ないけど、スライドは任せろ!

 

・・・あら?なんかスライドが変?

改良前のやつになってる!?

 

昨日の夜USBに落とし込んだはずなんですが、何故か上書き保存されていないバージョンの物が入っており、軽く焦りました。でも始まってしまったものは仕方ない、やるしかない!ということで冷静に進めました。

それでも他に何のトラブルもなく、結果的には上手く進んだのでは無いでしょうか。

友人が自信を持って読み上げてくれたおかげです。

全ての発表が終わると、いつもの教室に行きペアごとに先生方からコメントを。他のグループを待つ間、クラスメイトは3週間のレビューシートです。

どうなるかと少し緊張していましたが、堂々としていたこと、そしてスクリプトの構成、接続詞が良かったとお褒めの言葉をいただきました。

ベストを尽くして良かった!!

と心の底から思いました。特に力を入れていた部分を評価されたので、その時は本当に嬉しかったです。「頑張る」じゃなくて「ベストを尽くす」こと、言い換えられない時もありますが、個人的には後者の方が好きです。

そして全部が終わった後、最後にほんの少しだけ聞き忘れたことを質問させていただき、納得の答えが得られたところで寮に戻りました。

 

最後の授業の後は豪華なディナーでお祝いです。

数日前に買っておいた薬を飲み、いつもと違う服装で集合。

男性の皆さんはスーツでビシッと、女性の皆さんは品のあるドレスで美しく、シャンパンを片手に皆で談笑。集合写真もこれでバッチ・・・

ダダダダダ!

いきなりカメラの連写音。誰のかと思えば、私のスマホでした。先生が横のボタンを長押ししてしまい、それで撮ってしまったんでしょう。

さて気を取り直して、賞状の授与です。3週間、人文学に関するコースを修めた証としていただくのですが、一人ずつ名前を呼ばれ、お世話になった方々と握手をかわし、一枚パシャリ。チャペルで行われたのですが、これでいよいよ終わりかと思うと心に来るものがありました。それは最終日まで取っておこうということで、名前を呼ばれ、しっかり握手をかわし、笑顔で一枚。

そしていよいよディナーの席へ。各々好きな場所に座り、料理を待って楽しく喋っていましたが、この会話がもう楽しくてたまらない。

隣に座っていた友人が、カレッジのシンボルを見つけるなり「父親に似てるー!」と言い出し、それだけでテーブルが苦笑。そして前に座っていた先輩がワインを飲んでいたのですが、他の先輩方から「首まで赤いよ!!」と言われ、それを見ていた他の方々と爆笑。コーヒーと紅茶を選ぶ際、先輩2人が紅茶を頼もうとしたもののスタッフがはけてしまい、もう一度呼んだものの1人頼んだ瞬間またはけてしまい、二度手間ならぬ三度手間で爆笑。その隣で紅茶をなみなみ注がれた先輩が、なんと塩と砂糖を間違えて投入し、周囲も味見して大波乱。この後ディスコに行くアクティビティについて先輩に聞いたところ、「ん?テスコ?(現地のスーパーです)」と聞き間違え大爆笑。友人が同期のネクタイが短いことに気づくと、何とネクタイが前後逆になっていてさらに大爆笑。テーブルの写真を取ろうよということで撮った後の写真を見ると、一人先輩が変顔をしていることに気付きツッコミのオンパレード。先輩に「自撮りしてる先生方を撮って!」と言われカメラを向けると、先生方もそれに気づき仲良く自撮り。

とまぁ、色々ありすぎました。品のある素敵なディナーだったんですが、私のいたテーブルはこの上なく盛り上がり終始笑いに包まれていました。

ディナーを終えた後はパブへ。先生がビールを飲んでいましたが、ほろ酔い気分だったのか、私が飲んでいるストロベリーカクテル(Gin Berry fizzといいます)を見て

「それ甘くて喉に効くよ!是非飲んで!」

と何回も言われ、笑いながらチマチマ飲み進めていました。でも本当に甘くて美味しいカクテルでした。先生曰く、お酒に蜂蜜を入れて飲むと喉に効くとか何とか。本当かどうかわかりませんが、気になった方は試してみてくださいね。

それからカクテルですが、レシピがありますのでその一つをご紹介。

所要時間は約10分とお手軽です。

https://www.breakfastfordinner.net/raspberry-gin-fizz/

 

パブでのんびりしていると、友人が酔い始め、何かにつけて笑うように。あぁあかんと思い牽制の意味も込めて喋っていましたが、どうにも私もつられてしまい、結局ディナーの後までしばらく笑っていました。

パブの後はディスコ!

本場だし最後だしいいよねと思い、人生初のディスコへ足を運びました。皆ほろ酔い気分のまま、手のあたりに印をつけられて、各々音楽にノリ始めます。

その様子を動画におさめていたんですが、さすが本場。週末ということもありはっちゃけてます。ボーッとしてると知らない方から声をかけられることもあるので注意が必要です。

夜12時頃だったでしょうか、友人と一緒にパブを出て涼しい夜道を寮に向かって歩きました。明日がゆっくりオックスフォードにいられる最後の日なんて信じられないね、なんて話していましたが、本当に信じられないほど短い期間でした。

 

-20日目-

とうとう最後の日です。

この日は朝食を食べず、ブランチへ行こうよということで学生さんに案内され Westgate Oxford へ。屋上のレストランで学生さん、先生との2つのグループにわかれ、それぞれ好きなものを頼んでおしゃべり。

私はベーコンパンケーキを頼んだのですが、ボリュームが凄い。それでも美味しいことに変わりはありません。

何とか食べ終え、紅茶で喉を潤してお会計。その後は各々好きなところへ行く予定があるのですが、途中までは先生と一緒に歩いていました。

そして「気をつけてね、良い旅を」と手を振り、お別れしました。

この時今までにないほど寂しかったのですが、それ以上に寂しくなるとは思っていませんでした。

一度寮に戻り、街に出かける準備を済ませ、いざオックスフォードへ。

こちらの記事にも載せましたが、最終日は絶対にお墓に行くぞと決めていたので、予定通りその場所へ足を運びました。

カレッジは外だけでも見て、あの日何を思い考えたか、この3週間を思い出しつつも教授に思いを巡らせ、そしてスーパーでお花を購入。

一つ惜しかったのは、タクシーに乗ること。現地では高かったり安かったり、日本のタクシーとは色々違うところがあって難しいんです。そこに手間をかけるなら、バスでもいいかと思いバスに乗りました。この景色を自分だけで見るのも最後だと思い、しっかり目に焼き付けておきました。

そして停留所を確認し、ベルを鳴らして目的地に到着。

18日に通ったのと同じ道です。少し迷いながらも、再び教授のお墓の前へたどり着くことができました。

まさか滞在中に2度も訪れるなんて。

次に来るときは丁度その命日に。そしてもっと沢山の知識を蓄えて、今より良いお花をお供えしようと心に決め、不器用なりにお花を置いて本と一緒に写真におさめました。

最後の日ということもあってか色々なことを考えていたので全ては書ききれませんが、「絶対にまた来ます」というメッセージを胸に刻み付け、その場を離れました。

そして少し離れた停留所から歩き始めたんですが、やっぱりもう少しいてもよかったかな、と一人とぼとぼ歩いていると、ふと反対側の道を見た先に The Eagle and Child の文字が!

何だこんなところにあったのか!!

大急ぎで道を渡り、すぐさま写真を撮りました。見に行くだけでもと思っていたのですが調べるのを忘れていたので、これは非常にラッキーだったんじゃないかなと思います。中に入ってもよかったんですが、一人だと少し危ないかなというのもあり、また来たときに入ろうと心に決めました。

次にオックスフォードを訪れ、中に入った時には、インクリングスのように良い語り合いができたら良いな。

 

さらに道を歩くと、バスの影から颯爽と現れる自転車が。

あの服装はもしや先生か!?絶対そうだな!?と思いましたが、自転車に荷物を持った足がかなうはずがなく。少し走ったところで足を止め、ディスコで言えなかった分、心の中でお別れを言いました。

そこからさらに歩いた先に Blackwell's のアート専門店があり、そう言えばここで何も買ってなかったな(買う前提か)と思い足を踏み入れました。

そこで見つけたのがこちら。

The Art of the Lord of the Rings (60th Anniv Slipcase)

The Art of the Lord of the Rings (60th Anniv Slipcase)

 

 なーんだやっぱりあるんじゃん!無いはずないよね!

と思って裏を見ると£25。

・・・今普通に持ってる。買っても良いけどネットでも手に入る。でもこれ一個しかない。でも荷物増え

 

 

 

 

「こんにちは、£25ですね。袋お入れしますか?お買い上げありがとうございます、良い日を!」

・・・全く堪え性のないやつですね。

そしてすぐ近くにいた友人と会い、彼女も書店の方に寄ると言うので一緒に行きました。彼女曰く軽めで読みやすい本を探しているんだそうで、特にトールキンなら良いかもと私に助言を求めてくれました。

全く余談になりますが。

私が思うに、優しい人は「指輪物語の追補編かシルマリル第三紀はどう?」。

      映画なら「ロードオブザリングかな」。

      じっくり行きたい人は「まずホビットか指輪を原作で」。

      引きずり込む人は「シルマリルか終わらざりし物語だね」。

      ある人は「絵本とか薄いのあるけど貸す?」。

既に考えている方がいそうですが、あくまでも個人的な意見です。

それでも私に助言を求めてくれるんだからきっと良い物をお勧めできるはず!と、トールキン棚に案内し、店員さんが別のお客さんの横で色々解説しているのを横に、日本語でトールキンあれこれを友人に紹介。この本はこういう内容、時系列だとこう、読みやすいのはこれなど、ザーッと説明した後にオススメしたのがこちらの2つ、

Tree and Leaf: Including Mythopoeia

Leaf by Niggle

です。全くといって良いほどトールキンに関する知識がない友人には専門書は危ないので、とにかく読みやすさと軽さを重視し、後者の方をオススメしました。

「他にも子供向けのがあるけど、多分これなら馴染みやすいと思うよ」と言うと、

「その知識は店員さんになれるレベルだよ」と返されました。

私が言われた言葉だなんて、独占してはもったいない。

全国の束ファンの皆様、どうか胸を張ってください。

そして友人はLeaf by Niggleを手に、私は前者のTree and Leafを手に一緒にレジへ。

友人の手にした本を見るなり、店員さんが「これ凄く素敵な本よね!」と言ってくださいました。えぇその通りです、その通りですともー!と言いたいのをグッと堪え、私もひどい掠れ声で続いてレジへ。その様子が目に入ったのか、少し控えめに対応してくれました。そして「良い日をね、お嬢さん方!」と、気持ちよく最後のBlackwell's探訪を終えることができました。

あの時の店員さんには非常に感謝しています。

立場に関係なく、お互い気持ち良い対応ができるのがベストですね。

 

その後少しして最後の夕食・・・ではなく、引率の先生が使用している離れの部屋にてピザ・パーティです。これには全員が参加しました。

これが自分の足で歩いて見る最後の景色かと思うと何故かその時は実感が湧かず、また来るぞー!と思いながら綺麗な夕焼けを写真におさめました。

さぁピザを温めてパーティだ!

しかしこの時どうしたことか、体調不良では無かったのですが、何となく気分が優れないわけでもなく、変な気分になっていました。自分でも何故そうなっていたのか、今でもわかりません。

とりあえず外の空気を吸おうかと思い外に出ると、心地よい風がすうっと体に入ってきて、少し気分が良くなりました。

心配してくれたクラスメイトがピザを一切れ持ってきてくれたのですが、外に出ていた男性陣と話すうちに、いつの間にかテンションがいつも通りに戻ってきたみたいです。

入ったり出たりしているうちに夜になり、芝生で男性陣が何かやっているなーと思い見てみると、何とマルモリダンス!?

動画を見ながら仲良く踊っていました。

同期といい先輩方といい、楽しい人に囲まれて良かったなぁと思いながらも、ふざけて動画を撮っていました。撮ったは良いが、暗くて全然見えない(爆)。

それからしばらくワイワイしたりお喋りしたり、気づけば程よい時間帯に。

隣の部屋は別の学生が使っていたんですが、別の大学から訪れていたみたいです。こんにちは〜なんて顔を合わせ、そして帰り際にジュースが余ったということで、残った少人数でふざけて「向こうの学生たちにあげようよ」なんて言い出し、しまいにはメッセージを書き出す仕末。

悪戯も程々に。

私を含め最後に帰ったのは4人でしたが、お互いの話が面白くてずっと喋り通していました。こんな楽しい仲間と一緒に学べて、現地を回ってその身で文化の違いを体験して、こんな充実したこと無かったなぁなんて。

部屋に戻って小さく音楽を流し、さて荷造りーー

 

「帰りたくないなぁ」

 

そう思った瞬間に手が止まり、ダメだ早く終わらせて寝ないと明日早いからー

なんて思っていても、流しているBGM(Aimerさんの Torches でした)と

 

Torches

Torches

  • Aimer
  • J-Pop
  • ¥250
  • provided courtesy of iTunes

 

この最後の日というのも相まってか、数日前から考えないようにしていたことが溢れ出し、寂しくてたまらない。それにどうしたことか涙が出てきた。

まだ荷造り終わってないのに泣いてる暇なんかない。

気合で荷物をつめてはみるが、どうにも心がザワザワして集中できない。

早くしないと寝る時間が削られる。

何度言い聞かせても、どうにも涙が出てしまって落ち着けない。

大げさな、と思われるかもしれませんが、本当です。たった3週間、されど3週間。今まで生きてきた中で一番充実していた時間。

知り合った人々、そしてイギリス・オックスフォードの街を愛し、気づけばすっかり胸を張って歩けるようになっていた場所を去るなんて、とても考えられませんでした。

何より、行きたいと思う前から好きだと言っていて、実際に来たことで好きだと感じている自分を誇りに思えたのが一番でした。オックスフォードの街も当然、トールキンの地を巡ったことや、とにかく目で見たもの全てを好きになっていて、そして自分の軸で自分らしく生きている実感があった。そんないい場所から離れるなんて、考えただけで手が止まってしまう。

イギリスに来る前、友人から「ありゃれんちゃんはホームシックにならないタイプだね、むしろ「帰りたくない!」って言いそう(笑)」と言われていたのですが、正にその通りになりました。ホームシックにならないはともかく、実は「帰りたくない」って言うとは思っていなかったんです。その分帰国に向けてのショックが大きく、荷造りの手が止まってしまうほど強い愛着を持ってしまったのではないかと。

でもちゃんと心に決めたことがあったのを忘れてはいませんでした。

 

また必ず帰ってきて、今回果たせなかったことを果たす。そして自分らしく、楽しく生きる。

 

次はもっと長く滞在しよう、行きたい場所へ行こうと誓いをたて、眠りにつきました。

正直自分でもびっくりです。

前から好きだ好きだと言っていたのが、思っていた以上に好きになってしまった。

百聞は一見に如かずとはよく言ったものですね。

 

-21日目-

3週間にわたるオックスフォード短期留学、最終日。

昨日の涙が嘘のように、淡々と準備を進め、すっかり重くなったスーツケースを引っ張り出し、できるだけ手荷物を軽くして集合。

空港でさっと食べられる分の朝食を受け取り、バスに乗り込みます。

朝早かったのもあり、皆少しばかり眠そうな顔でした。

一方私はといいますと、

「オックスフォードの街並みを拝むのはこれが最後」

と、音楽を聴きながらひたすら窓からの景色を眺めていました。

眠気なんてものはほぼ無いに等しかったのでは無いでしょうか。その綺麗な田園風景が本当にホビット庄のようで、少しばかり映画を見終えた後のような気分でした。

ホビットでもロードオブザリングでも、それが映画でも原作でも、読み終える時はどこか切なく、それでいて清々しい別れがあります。正にそんな感じでした。

今思い返すと、それが最後だなんてもったいない!絶対にあの地に帰るぞ!って言ってやりたくなります。

長いことバスに揺られ、ヒースロー空港に到着。

VATの手続きをする組とそうでない組に分かれ、私は友人たちと一緒に空港内で待機。確実に回復しているとはいえ、まだ完全回復はしていない。

最終日、お別れの時に歌を歌いたいと思っていたのですが、これじゃ歌にもならないなと思い控えておきました。

そしていよいよ学生さん達とのお別れ。

毎年沢山の学生と接しているとはいえ、質問に快く答えてくれたり、ランドリーの問題であったりと、色々お世話になった方々です。特に現地の学生さんと話せて、少しでもトールキンに関する共通の話題が出来て、国内ではあまり顔を合わせて話せる仲間がいない私にとってはこの上ない喜びでした。

そんな意味を込めて、お別れした後、歌おうと思っていた歌の歌詞の一部をメッセージに貼り付けました。それがこちら。

 映画版ナルニア国物語、第2章のテーマソングです。非常に良い歌なので、是非ご試聴ください。

The Call

The Call

  • provided courtesy of iTunes

 飛行機に乗るまでの間はいつも通り、友人達と喋ったり、お店を回ったり。

「これで終わりだね」なんて話していましたが、飛行機が動き始めた瞬間、「やっぱり寂しいな」なんて。

最後に空港から見えた景色を写真におさめ、とりあえずイギリスにいたばっかりだしと思い、機内映画にアレがあるから見ようかとイヤホンを刺すと、なんと映画ロード・オブ・ザ・リングが全部揃っている!よっしゃ!

トールキン祭り開催じゃあ!!

ということで、ここぞとばかりにまずは映画『TOLKIEN』を鑑賞。

しかしその素敵な景色や仲良くはしゃぐTCBS4人組、最後にジェフリーを思い浮かべるトールキンの姿を見ていると、涙せずにはいられない。こんなに英国が濃厚に詰まっていて、これから発つと言う時に思い出してしまったら、そりゃ寂しくもなります。

そして旅の仲間から、シーンを飛ばすことなく見逃すことなく瞬きすることなく、一挙上映。最初に見てから様々な知識を蓄え、そのおかげで見るたびに毎回、前に見た時よりもずっとのめり込んでいるのが分かるんですが、その時はそれが一段と強かった。

友人がスマホを見たり別の映画を見ている隣で、私は一人盛り上がっていました。

残念ながら時間が足りず王の帰還は最後まで見られませんでしたが、ギリギリまで粘っていました。

中継地点の香港に到着早々、「いやぁ映画めっちゃ見ちゃったよー」と隣の友人にいうと、「本当見てたね、よく飽きないねぇ」と言われてしまいました。

彼女も見たことはあるそうなんですが、30分ほどで長くて飽きてやめてしまったそう。

ですが「気になるから見てみるよ!」と言ってくれた友人が機内にて有言実行、「見たよー!英国成分濃かった!」と言ってくれました。

その後さらに5時間、私は引き続き映画を見ていましたが、強い眠気に負けてしまい寝る羽目に。機内食があったんですが、どうにも気分が優れず(恐らく飛行機酔いでしょう)しばらく寝ていました。

気づけばあっという間に5時間が過ぎ、いよいよ着陸態勢に。

「帰ってきちゃったなぁ・・・」

なんて微妙な気分で成田に降り立ちました。スーツケースを受け取り、そして大量に本を入れたサブバッグを(私だけです)受け取り、税関を抜けて国際線の到着ロビーへ。

初の国際線、そして初の国際線到着ロビーでした。着くなりいつもの仲間の顔が見え、そして全員で引率の先生とお別れし、それぞれがパラパラと帰り始める。

まだ集まって受けなきゃいけない授業があるからいいとはいえ、心をイギリスに置いて来たまんまじゃ、当分本当に日本には帰ってこれないなと思ったものです。

私も家族の迎えが上がり、車に揺られ、電柱の立ち並ぶ自然を窓からボーッと見ていました。向こうは電柱がなく、自然の素晴らしい景観がそのまま守られていて素敵なんですが、それを考えただけでももう帰りたい(イギリスに)。

 

家につき、とりあえず荷物を解いて整理して、お土産をあげたい友人に連絡して、写真を整理して。

寝る場所がなくなるのは嫌だったのでまずは荷解きから。友人とはすぐに連絡がつき、この記事を書いた約2週間前に再会しました。そして写真の整理ですが、これが楽しい。現地時間に合わせたものもあるとはいえ、時差が直されていない物はいつ撮ったのか「ん?」となる部分があり、早くも記憶があやふやに。

向こうであったこと、見たことなどは全部覚えているんですが、それがいつどんな順番だったのか、細かい部分を思い出せない。

こんなに楽しくて充実して、思い出せなくなるほどだなんて最高だなぁ。

としばらく思いに耽っていました。

 

翌朝は少し遅めに起きたものの、なんだか変な夢を見まして。

イギリスにいて、見覚えのある景色の中を歩いていたんです。

軽い時差攻撃を食らったかな、と思うんですが、多分それもあるでしょう。

ですがそれ以上に、帰りたいという思いが強いのではないかと思います。

 

 

帰国してから約7週間経ちますが、イギリスにいる夢はあの時からずっと見ています。

この記事を書いた前の夜も、ロンドンにいる夢を見ていました。

私がこれまでに考えたこと、感じたことや思ったことについては、もうこれ以上書き切れないほど赤裸々に綴りましたが、これで何かが伝わればと思います。

特に私がトールキンを好きでいて、その仲間を現地で持ち話ができること。そして大好きな人たちと、大好きな地で一緒に何かをするということの大切さ。

この3週間を通じて、「自分らしく生きる」ということを大事にすることをよく学んだと思います。

日本にいるだけでは、やはりこの重要性には気付けない。

自分らしくいられて、自分を誇りに思える環境と出会えて、私は本当に幸せです。

 

帰って来た時は、大好きな人たちとまた会いたいな。

そしてもう一度教授の地を巡り、さらに多くの出会いを経験したいな。

 

早くも目標が定まり、そこに向かうべく今も奔走している私でございます。

 

想像以上に長くなりましたが、ここまで読んでいただきありがとうございました。

Hannon le!

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