Bag end diary

J.R.R.Tolkienとその作品を中心に、日々の出来事を一人のホビットが気まぐれに綴ります。

映画『TOLKIEN』

 

Elen sila lumenn omentielo.

小鳥さんの方でもお知らせしたとおり、20世紀フォックスサーチライト様の試写会に応募したところ見事に当選、そして映画『TOLKIEN』を見てまいりました。

ということで、今回は『TOLKIEN』の感想を。

背景をご存知の方はネタバレもへったくれもなさそうですが、極力ネタバレは控えさせていただきます。

 

或る伝記や The Letters of J.R.R.Tolkienを読んだ方ならお分かりかと思いますが、

まず彼の作品が完成するに至って大きく関わったのが T.C.B.Sの存在。

子役の演技が素晴らしい。当時の上流階級の息子らしく、はっちゃけたり皮肉を言ったり。まさに20世紀初頭の学生。

成長後の彼らも非常に素敵です。馬鹿にするのかと思えば友人を励まし、背中を押してくれる。彼らのその熱い友情に目頭も熱くなります。具体的にどうというのは、悲しくなるのでここでは述べません。

そこに繋がるようにして現れた、彼の師の存在。またいい味を出していて、T.C.B.Sと共に、彼の言語学の才能を見抜いて引き出した者の一人です。誰とは言いませんが、おっこれは!と思うような部分で唐突に現れます故、お気を付け下さい。

それからトレイラーを見た方は(というかファンで見ていない方は殆どいないと思いますが)お分かりでしょうが、第一次大戦のシーン、物凄く生々しいです。しかし思わずハッとしてしまうような演出に、トールキンの奥深くにあるものについて、さらに深く踏みこめるのではないかと思います(語彙力が謎)。

そして肝心のエディスさんですが、しなやかな動きが美しく、目を引くように魅力的な存在でした。すれ違いながらもトールキンの話に耳を傾け、彼の傍に居続ける彼女の姿勢は、彼らの墓石にも刻まれたLuthien と Beren、そしてアラゴルンとアルウェンの関係そのものでしょう。トールキンニコラス・ホルトの彼女を一途に愛する演技がまた素晴らしく、随所で息をのみました。

また鑑賞中、フフッとなってしまう部分がいくつか。これはやはりトールキンならではの、背景知識の濃いファンだからこそ分かってしまう盛大なオマージュ。どんな台詞かは明記しませんが、ご覧になった際は是非フフッと笑って下さい。

 

 

ファンタジーの原点ともいえる『指輪物語』、それに連なる『ホビット』の著者であるJ.R.R.Tolkienが、どのように生き、そして何故あのような大作が生まれたのか。その根底には彼の暗く重い少年時代、強い絆で結ばれた学友との熱い友情、そして引き離されながらも育み続け結ばれた愛があった。これはまさに「ゆきてかえりし物語」。今なお愛され続ける彼の著作はその人生の結晶ともいうべき作品。そしてこの映画は、彼について語る上で欠かせない存在となるであろう作品。

そんな誰も成し得なかった、思いがけない偉業を達成してくれた教授に今一度感謝。そして彼の全ての作品に携わった監督や俳優陣、スタッフに感謝。

 

と、こんな所でしょうか。

とにかく、ファンにはたまらない作品です。ぜひ劇場に足を運んでください。

映画『TOLKIEN』を見に行く際は、ハンカチ、忘れないで下さいね。

一つは、皆さんもお分かりの通りの意味で。

もう一つは、常に涙腺の近くに当てておくという意味で。

20世紀フォックスサーチライトさん、製作陣の皆さん、ありがとうございました。